Constipation
便秘の治療
強くいきまないと出ない、残便感がある、何日も出ない——
その便秘、生活習慣と病気の両面から原因を確認します。
最終更新日:2026年6月16日|監修:院長 錦織 英知(日本大腸肛門病学会 専門医・指導医)
便秘とは
便秘とは、単に「毎日排便がない」ということではありません。便秘症の診療ガイドラインでは、 「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。 排便回数が減ること(一般に週3回未満が目安の一つ)だけでなく、便が硬い・強くいきまないと出ない・残便感があるといった「排便困難」も便秘に含まれます。
こうした状態が長く続くものを慢性便秘症と呼びます。便秘は珍しい症状ではありませんが、 生活の質を大きく左右し、いきみによる痔の悪化などにもつながります。市販薬で対処を続けるうちに慢性化していくことも少なくありません。
便秘の多くは生活習慣や腸の働きによるものですが、 なかには大腸ポリープ・大腸がんなどの病気が背景に隠れている便秘もあります。 日数や回数だけにとらわれず、「すっきり快適に出せないつらさ」が続くようなら、一度状態を確認しておくことが大切です。
便秘の原因・リスク要因
生活習慣・加齢・薬剤・基礎疾患など、複数の要因が関わります。
食事・水分・運動不足
食物繊維や水分の不足、極端なダイエット、朝食を抜く・食事時間が不規則といった食習慣、運動不足は、便のかさや腸の動きに影響し、便秘の大きな要因になります。
加齢・筋力低下
年齢とともに大腸の動きや腹圧をかける筋力が低下し、便秘が起こりやすくなります。高齢の方や女性に多い傾向があるとされています。
薬剤の影響
一部の鎮痛薬・抗うつ薬・抗コリン薬・咳止め・パーキンソン病治療薬などには、腸の動きを抑えて便秘を起こしやすくするものがあります。
ストレス・生活リズム
ストレスや環境の変化で自律神経のバランスが乱れると、腸の動きに影響します。便意を我慢する習慣がつくと、便が来ても出にくくなることもあります。
基礎疾患
甲状腺機能低下症・糖尿病・神経の病気(パーキンソン病・脳血管障害など)といった全身の病気が、症状の一つとして便秘を引き起こすことがあります。
大腸の通過障害
大腸ポリープ・大腸がん・腸閉塞・手術後の癒着・炎症性腸疾患などで便の通り道が狭くなると、便秘の原因になります。検査での確認が必要なタイプです。
便秘の背景には、これらの要因が単独で、あるいは重なって関わっていることがあります。原因によって適切な対処は異なるため、「何が便秘を起こしているのか」を見極めることが、改善への近道になります。
種類と症状
便秘は原因によって、腸の働きの不調による機能性便秘と、 病気が原因で起こる器質性便秘に大きく分けられます。タイプによって対処が異なります。
大半のケース
機能性便秘
大腸や直腸の動き・反射の不調による便秘で、生活習慣・加齢・運動不足・水分不足などが背景にあります。 さらに以下のタイプに分けられます。
- 弛緩性:大腸の動きが弱く、便が長く留まって硬くなるタイプ。最も多く、女性や高齢の方に多いとされます。
- けいれん性:大腸が過剰に収縮し、便がスムーズに進まないタイプ。コロコロ便や便秘と下痢の繰り返しが特徴で、ストレスが関与します。
- 直腸性:便が直腸まで来ているのに、便意を我慢する習慣などで排便反射が起こりにくくなり、出にくくなるタイプ。
原因疾患があるタイプ
器質性便秘
大腸ポリープ・大腸がん・腸閉塞・手術後の癒着・炎症性腸疾患など、 身体の病気が原因で起こる便秘です。便の通り道が物理的に狭くなることで生じます。 この場合は、もとになっている病気の確認・治療が必要です。
当院では大腸内視鏡検査(鎮静下対応)で、器質的な原因の有無を確認できます。
こんな症状はありませんか?
次のような症状が続く場合は、便秘症として相談の対象になります。
- ✓ 3日以上排便がない日が続く・週に3回未満しか出ない
- ✓ 強くいきまないと便が出ない・出した後も残便感がある
- ✓ 便が硬い・コロコロした便しか出ない
- ✓ 便意があってもトイレでなかなか出てこない・便秘と下痢を繰り返す
- ✓ お腹の張り・残便感・食欲低下などを伴う
- ✓ 市販の便秘薬を毎日のように使っている・いきむと痔の出血や痛みが出る
こんなときは早めの受診を
急に便秘が始まった・便が細くなった・血便がある・体重が減ってきた——これらは、大腸がんなどの器質的な疾患が背景にある可能性を示すサインのことがあります。
市販薬で様子を見続けず、大腸の状態を確認することをお勧めします。特に50歳以上で大腸カメラを受けたことがない方は、一度ご相談ください。
検査・診断
背景に病気がないかを確認しながら、便秘のタイプを見極めます。
問診・診察
便秘の経過・排便回数・便の形・残便感・服用中の薬・生活習慣・併発症状(痔・便漏れ等)を丁寧に伺います。 急に始まった便秘か、慢性的なものかを含め、便秘の種類と背景を見極めることが、適切な治療への第一歩です。
大腸カメラによる器質的疾患の除外
便が細い・血便・体重減少など器質的な疾患が疑われる所見がある場合は、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)でポリープ・がん・炎症性疾患の有無を確認します。 必要に応じて、甲状腺・代謝の評価のための血液検査や、腹部レントゲン・腹部超音波などを行います。 「検査が初めて」「不安が強い」という方には、鎮静下で受けていただける環境を整えています。
排便機能の評価
「強くいきまないと出ない」「残便感がある」など、便を出す機能そのものの問題(直腸性便秘・骨盤底機能の低下など)が疑われる場合は、 排便機能の評価を行います。必要に応じて、骨盤底専門外来と連携して原因を詳しく確認します。
すべての便秘で大腸カメラが必要なわけではありません。一方で、警告となるサイン(急な便秘・便が細い・血便・体重減少など)がある場合は、 まず器質的な疾患を除外しておくことが大切です。検査の要否は、問診と診察をふまえて一緒に判断します。
治療・当院の対応
大腸肛門専門医が、生活・食事の見直しから薬物治療・専門外来との連携まで
状態に応じて段階的にご提案します。
便秘の治療は、まず生活・食事の見直しを基本とし、それでも改善しない場合や症状が強い場合に薬物治療を組み合わせます。 背景に病気がないかの確認、排便機能の問題への対応も、タイプに応じて並行して進めます。
生活・食事指導
食物繊維(水溶性・不溶性のバランスは便秘のタイプで異なります)や水分の摂り方、朝食と朝の水分・排便リズム、運動習慣など、 便秘改善の基本となる生活習慣を見直します。無理のない範囲で取り入れられる具体的な方法をご提案します。
薬物治療(下剤の使い分け)
便の水分量を整える浸透圧性下剤、便を軟らかくする上皮機能変容薬、腸内環境を整える整腸薬などを、 便秘のタイプと症状に応じて使い分けます。刺激性下剤の長期連用は腸の動きを鈍らせることがあるため、 市販薬を続けている方には減量・切り替えや薬の整理も一緒に進めます。
保険診療
大腸カメラによる背景疾患の除外
大腸ポリープ・大腸がん・炎症性腸疾患などが背景にないかを確認します。 鎮静下で受けられるため、検査が初めての方もご相談ください。
保険診療
骨盤底・排便障害への対応(専門外来と連携)
「強くいきまないと出ない」「残便感がある」など、直腸性便秘・骨盤底機能の問題が背景にある排便障害が疑われる場合は、 骨盤底専門外来と連携し、リハビリ・バイオフィードバックなどでの評価・対応をご提案します。
一部自費診療
「便秘くらいで受診するのは」と感じる方も多いですが、便秘は生活の質を大きく左右し、隠れた病気を見つける手がかりにもなります。 薬を長く使い続けている方も含め、まずは状態を確認するところから一緒に始めましょう。
担当医より
錦織 英知
院長 / 大腸肛門病専門医
よくある質問
関連する症状・検査・診療
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大腸カメラ検査
急な便秘・便細・血便がある場合は、器質的疾患の除外に大腸カメラをご検討ください。
DISEASE
痔(いぼ痔・切れ痔)
便秘で強くいきむと、痔の出血・痛みにつながります。便秘と痔は同時に診察可能です。
DISEASE
便漏れ(便失禁)
便秘と便漏れを繰り返すケースもあります。骨盤底機能を含めた評価が必要です。
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肛門外科(おしり診療)
便秘によって生じた痔の診察・日帰り手術にも対応しています。
DISEASE
裂肛(切れ痔)
硬い便での排便は切れ痔の原因になります。便秘と切れ痔は一緒に診察できます。
PRICE
料金表
診察・大腸カメラなどの費用の目安をご案内しています。
DOCTOR
院長・スタッフ紹介
大腸肛門専門医・認定看護師・理学療法士・管理栄養士によるチーム医療です。