Reflux Esophagitis
逆流性食道炎の治療
胸やけ・酸っぱいものが上がる・食後の胸の痛み——
胃カメラで食道・胃の状態を確認し、適切な治療を行います。
江坂駅徒歩2分。土曜診療・WEB予約対応。
最終更新日:2026年6月23日|監修:院長 錦織 英知(日本大腸肛門病学会 専門医・指導医)
逆流性食道炎とは
逆流性食道炎は、強い酸性の胃液(胃酸)を含む胃の内容物が食道へ逆流し、食道の粘膜が刺激されて炎症を起こす病気です。 通常は、胃と食道のつなぎ目(噴門)にあるしまりの働きや、食道の動きによって逆流が防がれていますが、これらのバランスが崩れると胃酸が食道へ上がりやすくなります。
食生活の欧米化などを背景に、日本でも患者数は増えてきたとされています。 胸やけや呑酸(酸っぱいものが上がる感じ)といった症状で日常生活の質が下がることが多い一方、適切な薬と生活の工夫で症状をコントロールできることが多い病気です。
なお、胃酸が食道へ逆流して起こる不調は、「胃食道逆流症(GERD)」と総称されます。 このなかには、胃カメラで食道に炎症(びらん)が見られる「逆流性食道炎(食道炎)」と、症状はあっても明らかな炎症が見られない「非びらん性胃食道逆流症(NERD)」が含まれます。 このページでは、これらをまとめてご案内します。
原因・リスク要因
「胃酸が増える要因」と「逆流しやすくなる要因」が重なって起こると考えられています。
食習慣・肥満
脂肪分の多い食事・食べすぎ・早食いは胃酸の分泌や逆流を招きやすく、肥満による腹圧の上昇も逆流を促す要因とされています。
加齢・食道裂孔ヘルニア
加齢により噴門のしまりや食道の動きが弱まりやすくなります。胃の一部が横隔膜の上にずれ上がる食道裂孔ヘルニアがあると、逆流が起こりやすくなります。
喫煙・飲酒
喫煙や過度の飲酒は、噴門のしまりをゆるめたり胃酸の逆流を起こしやすくしたりするとされ、症状の悪化に関わる要因です。
前かがみ姿勢・腹圧
加齢などで背中が丸くなる・前かがみの作業が多い・きつい衣服やベルトなどでお腹に圧がかかると、腹圧が上がって逆流が起こりやすくなります。
ピロリ除菌後の胃酸増加
ピロリ菌感染は胃酸の分泌を抑える方向に働くことがあり、除菌によって胃酸が増え、逆流症状が出たり悪化したりする場合があります。
食生活の変化・体質
食事の欧米化など生活背景の変化に加え、食道の知覚が敏感になっていると、少しの逆流でも症状を感じやすくなることがあります。
これらの要因は一つだけでなく、いくつか重なって症状につながることがよくあります。当てはまる項目が多い方や、症状が続いている方は、一度胃カメラで状態を確認しておくと安心です。
種類と症状
胃酸の逆流で起こる不調(胃食道逆流症・GERD)は、胃カメラでの見え方によって大きく次の2つに分けられます。
びらん性(逆流性食道炎)
胃カメラで食道の粘膜に炎症(びらん)が見られるタイプです。狭い意味での「逆流性食道炎」はこの状態を指します。炎症の程度を確認することで、治療や経過観察の方針を立てやすくなります。
非びらん性(NERD)
胸やけや呑酸などの症状はあるのに、胃カメラでは明らかな炎症が見られないタイプです。食道の知覚が敏感になっていることなどが関わるとされ、症状にあわせた治療を行います。
こんな症状はありませんか?
次のような症状は、逆流性食道炎(胃食道逆流症)でよくみられます。
- ✓ 胸やけ・みぞおちの灼熱感がある
- ✓ 酸っぱいもの・苦いものが口まで上がってくる(呑酸)
- ✓ 食後に胸や喉の奥が痛い、つかえる感じがある
- ✓ 慢性的な咳・声がれ・喉の違和感が続いている
- ✓ 就寝中や早朝に胸やけで目が覚めることがある
こうした症状は、逆流性食道炎以外(胃炎・胃潰瘍・狭心症などの心臓の病気・食道や胃の腫瘍など)でも起こりうるものです。 とくに胸の痛みが強い・つかえ感が続く・体重が減るといった場合は、症状だけで判断せず、胃カメラなどで状態を確認することが大切です。
検査・診断
問診と胃カメラで、食道・胃の状態を確認していきます。
問診
いつ・どんなときに・どのような症状が出るかを丁寧にお伺いします。胸やけや呑酸などの典型的な症状からは、逆流性食道炎をかなりの程度推測できます。あわせて、ほかの病気の可能性や生活背景も確認します。
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)
食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察し、炎症(びらん)の程度や、バレット食道の有無、胃炎や潰瘍・腫瘍などほかの病気が隠れていないかを確認します。診断の中心となる検査です。 「検査が初めて」「以前つらかった」「不安が強い」という方には、鎮静下で受けていただける環境を整えています。
ピロリ菌検査・必要に応じた追加検査
胃カメラの所見にあわせて、ピロリ菌の感染を調べる検査を行うことがあります。症状があるのに胃カメラで明らかな炎症が見られない場合(非びらん性・NERD)には、胃酸を抑える薬を試して症状の変化を確認する方法をとることもあります。
胃カメラで確認しておく意味
症状だけでは、炎症の程度や、バレット食道・他の病気の有無までは分かりません。一度きちんと状態を確認しておくことで、その方に合った治療・経過観察の方針を立てやすくなります。
治療・当院の対応
逆流性食道炎の治療は、薬による治療と生活習慣の改善が柱になります。再発しやすい病気のため、症状をコントロールしながら、無理なく続けられる治療を一緒に考えていきます。
薬物療法
胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)やカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)が中心となり、症状や消化管の動きにあわせて補助的な薬を組み合わせることもあります。多くの方で症状の改善が期待できます。
生活指導
食べすぎ・脂っこい食事を控える、食後すぐに横にならない、寝るときに上半身を少し高くする、前かがみ姿勢やお腹を締めつける服装を避ける、禁煙・節酒・減量など、逆流を起こしにくくする工夫をご提案します。薬とあわせて行うことで、再発を抑えやすくなります。
長期管理・バレット食道の経過観察
症状が落ち着いた後も、再発しやすい方では薬の量を調整しながら続けることがあります。胃カメラでバレット食道(長年の逆流で食道下部の粘膜が変化した状態)が見つかった場合は、定期的な胃カメラでの経過観察をご提案します。万一、精密な検査や入院・手術を要する病気が見つかった場合は、当院では行わず、連携している専門医療機関を責任を持ってご紹介します。
当院は外来のクリニックです。胃カメラによる確認・所見のご説明・薬の調整・生活指導・定期的な経過観察まで、外来で対応できる範囲を丁寧に行います。「市販薬でしのいでいる」「症状を繰り返している」という段階でも構いませんので、まずはご相談ください。
担当医より
錦織 英知
院長 / 大腸肛門病専門医