Fecal Incontinence
便漏れ(便失禁)の治療
ガス漏れ、気づいたら汚れていた、急に我慢できない——
誰にも相談できなかったそのお悩み、骨盤底専門外来の専門医にお任せください。
最終更新日:2026年6月23日|監修:院長 錦織 英知(日本大腸肛門病学会 専門医・指導医)
便失禁(便漏れ)とは
便失禁(便漏れ)とは、自分の意思に反して便やガスが漏れてしまう状態をいいます。 便を漏らさずにためておく働きには、肛門を締める肛門括約筋や、それを支える骨盤底の筋肉、直腸の感覚などが関わっています。 これらのいずれかが弱ったり、うまく連携しなくなったりすると、便やガスを思うように制御できなくなります。
便失禁は、日本では65歳以上の約7〜8%に見られるとされ、決してめずらしい症状ではありません。 一方で、恥ずかしさから相談できないまま、何年も一人で悩み続けている方が多いことも知られています。
便失禁は、専門的な診断と治療で改善が期待できる症状です。 「年齢のせい」「仕方がない」と諦める必要はありません。当院では骨盤底専門外来で、お一人おひとりの状態に合わせた診察・治療を行っています。まずはご相談ください。
原因・リスク要因
出産・加齢に伴う機能低下のほか、手術歴や全身の病気が関わることもあります。
出産・加齢による機能低下
最も多い背景です。出産時の括約筋の損傷や、加齢に伴う肛門括約筋・骨盤底の筋力低下によって、便やガスをためておく力が弱くなります。
直腸・肛門の手術歴
痔核・痔瘻・肛門狭窄などの手術後に、括約筋の働きが影響を受けて漏れにつながることがあります。手術歴のある方は診察時にお知らせください。
神経障害
糖尿病性神経障害・脊柱管狭窄症などにより、肛門や直腸の感覚・締まりを調節する神経の働きが低下し、漏れの原因となることがあります。
下痢・便秘
慢性的な下痢では便がやわらかく漏れやすくなり、便秘では直腸に便がたまって周囲から漏れ出すことがあります。便の性状の乱れも重要な要因です。
直腸脱・痔などの病気
直腸脱や痔など、肛門・直腸の病気が背景にあると、便やガスが漏れやすくなることがあります。これらの確認も診察の中で行います。
複数の要因が重なることも
便失禁は、一つの原因だけでなく、加齢・出産歴・便の性状など複数の要因が重なって起こることが少なくありません。だからこそ正確な評価が大切です。
原因によって有効な治療が変わります。当てはまる要因がある方や、漏れが続いて生活に影響している方は、一度検査で状態を確認しておくと安心です。
種類と症状
便失禁は、漏れ方によって大きく次の3つに分けられます。どのタイプかによって、関わっている筋肉や感覚の問題が異なり、適した治療も変わります。
漏出性便失禁
便意を感じないまま、気づいたら漏れているタイプ。安静時に肛門を締める内肛門括約筋の機能低下や、直腸の感覚の低下が関係します。
切迫性便失禁
急に強い便意を感じてトイレに間に合わないタイプ。意識的に肛門を締める外肛門括約筋の機能低下が関係します。
混合性便失禁
漏出性と切迫性の両方が混在するタイプ。それぞれの原因に応じた治療を組み合わせて行います。
こんな症状はありませんか?
次のような症状があれば、便失禁の可能性があります。
- ✓ 気づかないうちに便やガスが漏れてしまうことがある
- ✓ 急に強い便意を感じ、我慢できずトイレに間に合わないことがある
- ✓ 気づいたら下着が汚れていることがある
- ✓ ガスが我慢しにくい・知らないうちに出てしまう
- ✓ においや漏れが気になって、外出・旅行・外食を避けるようになった
- ✓ 出産後や肛門の手術後から、漏れの症状が続いている
軽い漏れやガス漏れだけでも、生活の質に影響していればご相談の対象です。 症状の種類や程度を正しく評価することが、適切な治療への第一歩になります。
検査・診断
問診から肛門の診察・機能検査まで、段階的に原因を確認していきます。
問診・排便状況の評価
漏れ方(漏出性・切迫性)・頻度・量、便の性状、生活への影響、既往歴(出産・肛門手術・糖尿病など)を丁寧にうかがいます。 個室でプライバシーに配慮して診察しますので、安心してお話しください。
肛門の診察
肛門の状態・締まり具合を確認し、痔や直腸脱など漏れの背景になりうる病気がないかを診察します。負担の少ない範囲で、配慮しながら行います。
必要に応じた直腸肛門機能検査・超音波検査
必要に応じて、肛門管内圧検査などの直腸肛門機能検査や超音波検査を行い、括約筋の締まる力・損傷の有無・直腸の感覚を客観的に評価します。原因の見極めと治療方針の決定に役立ちます。
背景疾患の確認に大腸カメラ
下痢や便通異常を伴う場合など、背景に大腸の病気が隠れていないかを確認するために、必要に応じて大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を行います。当院は大腸肛門専門医による大腸カメラに対応しています。
正確な診断が、適切な治療への第一歩です。
便失禁は原因やタイプによって有効な治療が異なります。検査でご自身の状態を確認することが、改善への近道になります。
治療・当院の対応
便失禁の治療は、まず体への負担が少ない方法から段階的に進めるのが基本です。 当院では骨盤底専門外来で、生活・排便指導、骨盤底筋リハビリ・バイオフィードバック療法、薬物療法を中心に対応しています。 これらで効果が不十分な難治例については、専門的治療を行う医療機関と連携してご紹介します。
当院の骨盤底専門外来で対応する範囲
医師・看護師・理学療法士・管理栄養士がチームで、お一人おひとりの状態に合わせた治療を行います。便失禁は当院で診療します。
生活・排便指導
管理栄養士が「漏れにくい便」をつくる食事内容・水分摂取・排便リズムを個別にご提案します。便の性状を整えることが、漏れの改善の土台になります。
骨盤底筋リハビリ・バイオフィードバック療法
骨盤底筋・肛門括約筋の正しい締め方・ゆるめ方を、専門スタッフがマンツーマンで指導します。 バイオフィードバック療法では、括約筋の動きを画面で確認しながら効率よくトレーニングできます。便失禁治療の中心となる方法です。
薬物療法
便の硬さを整える薬などを用い、漏れにくい状態づくりを助けます。下痢・便秘がある場合は、その調整も併せて行います。
難治例は連携先へご紹介する範囲
生活・排便指導や骨盤底筋リハビリなどで効果が不十分な難治例では、仙骨神経刺激療法(SNM)などの専門的治療が検討されることがあります。 これらが必要な場合は、専門的治療を行う医療機関と連携してご紹介します。紹介状の作成や連携先の調整までお手伝いします。
「どこに相談すればよいか分からない」という段階でも構いません。まずは状態を確認し、結果に応じて次のステップ(指導・リハビリ・薬物療法・専門医療機関へのご紹介など)を一緒に決めていきます。
担当医より
錦織 英知
院長 / 日本大腸肛門病学会専門医・指導医
よくある質問
まずはご相談ください
骨盤底専門外来は毎週火曜日14:00〜16:00(完全予約制)。
江坂駅より徒歩2分、土曜診療・WEB予約対応。