Hemorrhoids
痔核(いぼ痔)の治療
排便時の出血・肛門からの脱出・痛み——
恥ずかしくて相談できなかったお悩みも、大腸肛門病専門医にご相談ください。
保存的治療から痔の日帰り手術まで、専門的に対応します。
最終更新日:2026年6月23日|監修:院長 錦織 英知(大腸肛門病専門医)
痔核(いぼ痔)とは
痔核(いぼ痔)は、肛門の周りにある細い血管の集まり(静脈叢)がうっ血して膨らみ、いぼ状になった状態です。痔のなかで最も多いタイプとされ、肛門と直腸の境目である「歯状線」を境に、内側にできる内痔核と、外側にできる外痔核に分けられます。
痔核そのものは、もともと誰の肛門にもある組織が大きくなったもので、命に関わる病気ではありません。 排便習慣や生活習慣を整えることで、多くは保存的治療で症状が落ち着くとされています。一方で、進行すると出血や脱出を繰り返すようになり、生活に支障が出ることもあります。
出血は「痔だろう」と決めつけないことが大切です。 肛門からの出血は痔核によることが多い一方、大腸ポリープや大腸がんなど大腸の病気が原因のこともあります。年齢や便通の変化によっては、痔の治療とあわせて大腸の状態も確認しておくことをおすすめしています。
原因・リスク要因
肛門への負担やうっ血を招く生活習慣が、痔核ができる・悪化する要因とされています。
排便習慣(いきみ・長時間トイレ)
強くいきむこと、トイレで長く座り続けること(スマートフォンの操作など)は、肛門の血管に負担をかけてうっ血を招き、痔核ができる・悪化する大きな要因とされています。
便秘・下痢
便秘で硬い便を強くいきんで出すこと、下痢を繰り返すことは、いずれも肛門への刺激や負担となり、痔核の原因・悪化要因になるとされています。便通を整えることが予防の基本です。
妊娠・出産
妊娠中は子宮が大きくなり肛門周囲の血流が滞りやすく、出産時のいきみも加わるため、痔核ができやすい時期とされています。産後に気づく方も少なくありません。
長時間の座位・立位
デスクワークや立ち仕事などで同じ姿勢を長く続けると、肛門周囲の血流が滞ってうっ血しやすくなります。適度に体を動かすこと・体を冷やさないことが負担の軽減につながります。
飲酒・刺激物
アルコールや香辛料などの刺激物の摂りすぎは、肛門周囲の血流を増やしてうっ血を招いたり、下痢を引き起こしたりして、痔核の症状を悪化させる要因とされています。
これらの要因は重なって痔核を招くことが多く、逆に言えば、生活・排便習慣を見直すことが治療と再発予防の土台になります。当てはまる項目が多い方や、すでに出血・脱出などの症状がある方は、一度ご相談ください。
種類と症状
痔核は、できる場所によって内痔核と外痔核に分けられ、症状の出方が異なります。 歯状線より内側(直腸側)にできる内痔核は、痛みを感じにくい部分のため出血や脱出が主な症状になります。一方、歯状線より外側(肛門側)にできる外痔核は、皮膚に近く知覚があるため痛みを感じやすいのが特徴です。
内痔核(内側)
歯状線より内側(直腸側)にできます。痛みを感じにくい部分のため、排便時の出血や、進行に伴う脱出(飛び出し)が主な症状です。初期は自覚しにくく、出血で気づくことが多いタイプです。
外痔核(外側)
歯状線より外側(肛門側)にできます。皮膚に近く知覚があるため痛みを感じやすいのが特徴です。血の塊(血栓)ができると急に腫れて強く痛む「血栓性外痔核」になることもあります。
内痔核の進行度(Goligher分類)
内痔核は、脱出の程度によってⅠ〜Ⅳ度に分けられます。進行度によって、保存的治療で様子をみるか、手術を検討するかの目安が変わります。
こんな症状はありませんか?
次のような症状がある場合は、痔核が疑われます。
- ✓ 排便時に出血する・便器やペーパーに血がつく
- ✓ 肛門から何かが出てくる・押し込まないと戻らない(脱出)
- ✓ 排便時や座っているときに肛門が痛む・腫れてズキズキする
- ✓ 肛門の周りがかゆい・湿った感じや残便感がある
これらの症状は、裂肛(切れ痔)・痔ろうなど他の肛門の病気や、大腸ポリープ・大腸がんなど大腸の病気でも起こりうるものです。症状だけで自己判断せず、診察で原因を確認することが、適切な対応への第一歩になります。
検査・診断
問診から肛門の診察まで、体への負担に配慮しながら段階的に確認します。
問診
出血・脱出・痛みなどの症状、いつからどのような時に出るか、便通の状態、これまでの治療歴などをお聞きします。出血の色や様子、年齢などは、大腸の病気の可能性を考えるうえでも大切な情報になります。
視診
肛門の周りを目で観察し、外痔核の有無や腫れ、脱出している痔核、皮膚の状態などを確認します。横向きに寝た楽な姿勢で、必要な部分のみを短時間で診察します。
指診
ゼリーを用いて指で肛門・直腸の状態を確認します。しこりや圧痛、肛門の締まり具合などを調べ、痔核以外の病変がないかもあわせて確認します。痛みに配慮し、できるだけ負担の少ない方法で行います。
肛門鏡検査
専用の器具(肛門鏡)を使って、肛門内部や内痔核の状態を直接観察します。内痔核の大きさや位置、進行度の評価に役立ちます。写真を患者様に確認いただき、肛門内の「見える化」に努めています。
出血があるときは、大腸側の病気の除外も大切です
肛門からの出血は痔核によることが多い一方で、大腸ポリープや大腸がんが原因のこともあります。年齢・出血の様子・便通の変化などから必要と判断した場合には、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で大腸側の病気の有無も確認します。当院では鎮静下での大腸カメラにも対応しています。
治療・当院の対応
痔核の治療は、まず生活・排便習慣の改善と薬による保存的治療から始めるのが基本です。多くの方は、これで症状が落ち着きます。脱出や出血を繰り返す・押し込んでも戻らないなど症状が進んだ場合には、進行度に応じて手術を検討します。当院は痔を主要な診療の一つとし、大腸肛門病専門医が保存的治療から痔の日帰り手術までを担当します。
保存的治療(生活・排便習慣の改善+坐薬・軟膏)
治療の土台となるのが、便通を整える生活習慣の改善です。食物繊維と水分をしっかりとる・強くいきまない・トイレを長時間にしない・お尻を清潔に保ち体を冷やさない、といった点を一緒に整えていきます。あわせて、炎症や痛み・出血をやわらげる坐薬・軟膏や、必要に応じて便通を整える内服薬を用います。多くの痔核は、この保存的治療で症状が落ち着きます。
外来での処置
血の塊で急に腫れて痛む血栓性外痔核などでは、外来での処置や薬物治療で症状の軽減をはかります。保存的治療と手術の中間にあたる対応として、症状や痔核の状態に応じて選択します。
痔の日帰り手術に対応
脱出や出血を繰り返す進行した内痔核(おおむねⅢ度以上)などには、手術を検討します。当院では症状や進行度に応じて、痔核に薬剤を注射して縮めるジオン注(ALTA法)や、痔核を根元で縛って切除する結紮切除術などの日帰り手術に対応しています。ALTA法は切らずに行えるため痛みが少ない傾向があり、結紮切除術と組み合わせることもあります。どの方法が適しているかは、診察のうえでご提案します。
重症例・連携が必要な場合
広範囲に及ぶ重症例や、入院を要する手術が望ましいと判断した場合、また出血の背景に大腸の病気が疑われ専門的な治療が必要な場合などは、連携医療機関と協力して進めます。紹介状の作成や必要な検査の追加にも対応しますので、まずはご相談ください。
「手術が必要なのでは」と不安で受診をためらう方もいらっしゃいますが、痔核の多くは保存的治療で対応できます。まずは現在の状態を確認し、保存的治療・処置・手術といった選択肢のなかから、ご希望もうかがいながら一緒に方針を決めていきます。
担当医より
錦織 英知
院長 / 大腸肛門病専門医