Barrett's Esophagus

バレット食道

長年の胃酸逆流で食道下部の粘膜が変化した状態——
自覚症状が乏しく、食道腺がんのリスクに注意が必要です。
胃カメラ(必要時生検)で診断し、定期的な経過観察で早期発見を目指します。

◎ 逆流性食道炎が背景 ◎ 自覚症状が乏しい ◎ 食道腺がんのリスク ◎ 胃カメラで定期観察 ◎ 江坂駅徒歩2分

最終更新日:2026年6月23日|監修:院長 錦織 英知(日本大腸肛門病学会 専門医・指導医)

Overview

バレット食道とは

バレット食道は、長年にわたる胃酸の逆流で食道下部の粘膜が刺激を受け続け、本来の扁平上皮が胃や腸に似た円柱上皮へ置き換わった(腸上皮化生した)状態をいいます。 食道と胃のつなぎ目(食道胃接合部)から連続して、この変化した粘膜(バレット上皮)が広がります。 それ自体は痛みを伴う「病気」というより粘膜の変化ですが、後述のリスクのため経過観察の対象になります。

バレット食道は、胃液や十二指腸液が食道へ逆流して炎症を起こす逆流性食道炎(胃食道逆流症)を主な背景として生じます。 逆流症状が長く続いている方では、食道粘膜にこうした変化が起きていないかを確認しておくことが大切です。

バレット食道は食道腺がんが発生する母地となることが知られており、健常な食道粘膜よりリスクが高いとされています。 一方で大多数はがん化しないため、過度に心配する必要はありません。重要なのは、変化を早期にとらえ、定期的に経過を見ていくことです。

Causes & Risk Factors

原因・リスク要因

胃酸の逆流を背景に、肥満・喫煙・加齢などの要因が関わるとされています。

逆流性食道炎・胃食道逆流症

胃酸や十二指腸液が食道へ繰り返し逆流し、食道下部の粘膜が慢性的に刺激を受けることが、バレット食道の最も大きな背景とされています。

肥満・食習慣

肥満は腹圧が高まることで逆流を助長し、リスク要因として指摘されています。脂肪分の多い食事・食べ過ぎ・食後すぐ横になる習慣なども逆流に関わるとされています。

喫煙・飲酒

喫煙は逆流やバレット食道のリスクを高める要因とされています。過度の飲酒も食道粘膜への負担となり、控えることが望ましいとされています。

加齢

年齢を重ねるほど逆流症状を抱える方が増える傾向があり、バレット食道も中高年以降に指摘されることが多いとされています。

これらの要因がある方すべてにバレット食道が生じるわけではありません。一方で、逆流症状が長く続く方や、当てはまる項目が多い方は、一度胃カメラで食道の状態を確認しておくと安心です。

Types & Symptoms

種類と症状

バレット食道は、変化した粘膜(バレット上皮)が広がっている長さによって大きく分けられます。 食道胃接合部から3cm未満の短いものをSSBE(ショートセグメント・バレット食道)3cm以上の長いものをLSBE(ロングセグメント・バレット食道)と呼びます。 日本人ではSSBEが多いとされ、一般にバレット上皮の範囲が長いほど経過観察を慎重に行うことが多いとされています。

自覚症状は乏しいことが多いです。
バレット食道そのものに特有の症状はなく、無症状で経過することが少なくありません。背景に次のような逆流症状があることはあります。

  • 胸やけがある・みぞおちが焼けるような感じが続く
  • 呑酸(酸っぱいものが上がってくる)・げっぷが多い
  • 胸の違和感・つかえる感じ・しみる感じがある
  • 夜間の咳・のどの違和感・声がれを繰り返す
  • 健診や検査で「バレット食道」「バレット上皮」と言われた

バレット食道は症状の有無では分からないことが多く、逆流症状がある方でも食道の変化が無症状で進むことがあります。 だからこそ、逆流症状のある方や指摘を受けた方は、胃カメラで食道の状態を確認しておくことが、適切な対応への第一歩になります。

Examination & Follow-up

検査・経過観察

胃カメラで食道下部の粘膜を観察し、必要時の生検と定期的な経過観察で確認していきます。

1

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)

食道下部の粘膜を直接観察し、バレット上皮の有無や広がり(SSBE/LSBE)、逆流性食道炎の有無などを確認します。診断の中心となる検査です。 「検査が初めて」「以前つらかった」「不安が強い」という方には、鎮静下で受けていただける環境を整えています。

2

必要に応じた生検(病理検査)

観察中に気になる所見があれば、組織の一部を採取(生検)し、顕微鏡で詳しく調べます。粘膜の変化の性質や、前がん的な変化・がんの有無などの確認につなげます。

3

定期的な経過観察

バレット食道と確認された場合は、バレット上皮の広がりやリスクに応じて、定期的に胃カメラで経過を見ていきます。早期の変化をとらえることが、負担の少ない対応につながります。 背景の逆流性食道炎に対しては、胃酸を抑える薬や生活習慣の見直しを併せて行うことがあります。

早期発見の重要性
バレット食道は自覚症状が乏しく、症状を待っていると変化に気づきにくいことがあります。逆流症状のある方の胃カメラや、診断後の定期的な経過観察は、食道腺がんを早期に見つけるための重要な手がかりです。

Cancer Risk & Our Role

食道がんリスクと当院の対応

バレット食道は食道腺がんが発生する母地となることが知られており、健常な食道粘膜と比べてリスクが高いとされています。 ただし大多数はがん化しないため、バレット食道そのものを取り除く確立した治療があるわけではなく、定期的な胃カメラでの経過観察によって早期発見を目指すことが現在の中心的な対応です。

当院が担当する範囲

当院は外来のクリニックです。相談・胃カメラによる確認・必要時の生検・所見のご説明と、 診断後のリスクに応じた定期的な経過観察を担当します。 背景にある逆流性食道炎に対する内服治療や生活習慣のアドバイスも含め、早期発見・経過観察を丁寧に行います。

当院では行わず、連携先へご紹介する範囲

前がん的な変化や食道がんが疑われる所見・確定診断が必要な場合の精密検査や治療(内視鏡的切除・外科手術・入院を伴う治療など)は、当院では行いません。 これらが必要な場合は、連携している専門医療機関を責任を持ってご紹介します。紹介状の作成・必要な検査の追加・連携先の調整までお手伝いします。

「指摘されたが何をすればよいか分からない」という段階でも構いません。まずは食道の状態を確認し、結果に応じて次のステップ(経過観察の間隔・再検査・専門医療機関へのご紹介など)を一緒に決めていきます。

From Our Doctor

担当医より

院長 錦織英知 医師

錦織 英知

院長 / 大腸肛門病専門医

「バレット食道は自覚症状が乏しく、健診や胃カメラで偶然分かることが少なくありません。 『指摘されたが症状はないので放置していた』というご相談も多くお受けします。 大多数はがん化しませんので過度に不安になる必要はありませんが、食道腺がんのリスクに関わるため、定期的な経過観察が大切です。 当院では検査・必要時の生検・所見説明・定期観察・必要なご紹介まで、一緒に整えていきます。」
日本大腸肛門病学会専門医・指導医 日本消化器内視鏡学会専門医 日本消化器病学会専門医
FAQ

よくある質問

長年の胃酸逆流によって食道下部の粘膜が刺激を受け続け、本来の扁平上皮が胃や腸に似た円柱上皮へ置き換わった(腸上皮化生)状態です。逆流性食道炎を背景に生じることが多く、それ自体は病気というより粘膜の変化ですが、食道腺がんのリスクに関わるため経過観察の対象になります。
バレット食道そのものには特有の自覚症状が乏しいことが多く、胸やけや呑酸といった逆流症状が背景にあっても無症状で経過することがあります。症状の有無では分からないため、逆流症状のある方や指摘を受けた方は胃カメラでの確認が大切です。
バレット食道は食道腺がんが発生する母地となることが知られており、健常な食道粘膜と比べてリスクが高いとされています。ただし大多数はがん化しません。早期に発見できれば負担の少ない治療が可能なため、定期的な胃カメラによる経過観察で早期発見を目指します。
胃カメラ(上部消化管内視鏡)で食道下部の粘膜を観察して診断し、必要に応じて生検(組織の一部を採取して顕微鏡で確認)を行います。当院では鎮静下での検査にも対応しています。確定診断後はリスクに応じて定期的に経過観察し、がんが疑われる所見や確定した場合は連携医療機関へ紹介します。

バレット食道・逆流症状のご相談

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