Inflammatory Bowel Disease
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
慢性の下痢・血便・腹痛・体重減少が続く——
大腸カメラと生検で炎症性腸疾患を診断・鑑別し、必要に応じて専門医療機関と連携します。
江坂駅徒歩2分。鎮静下対応・土曜診療・WEB予約。
最終更新日:2026年6月23日|監修:院長 錦織 英知(日本大腸肛門病学会 専門医・指導医)
炎症性腸疾患(IBD)とは
炎症性腸疾患(IBD)とは、消化管に原因のはっきりしない慢性の炎症が起こる病気の総称です。狭い意味では、代表的な二つの病気である潰瘍性大腸炎とクローン病を指します。 いずれも国(厚生労働省)の指定難病に定められており、原因の解明や根本的な治療法の確立がなお途上の病気とされています。
炎症性腸疾患は、炎症や症状のある「活動期」と、治療によって症状が落ち着いた「寛解期」を繰り返すのが特徴です。 寛解期でも再び悪くなる(再燃する)可能性があるため、症状が落ち着いてからも継続的な管理を続けることが大切とされています。
慢性の下痢・血便・腹痛・体重減少などの症状は、炎症性腸疾患のほか、感染性腸炎など他の病気でも起こりうるものです。 まずは大腸カメラと生検で状態を確認し、他の病気と区別(鑑別)したうえで対応していくことが、適切な診断への第一歩になります。
原因・リスク要因
遺伝的な体質に、免疫の異常や環境要因が関わって発症すると考えられています。
免疫の異常
本来は体を守るはたらきをする免疫が、腸の粘膜に対して過剰に反応し、炎症を起こし続けてしまうことが関わっていると考えられています。
遺伝的素因(体質)
発症しやすい体質的な背景(遺伝的素因)が関係するとされています。ただし、必ず遺伝する病気というわけではありません。
環境・食生活・腸内細菌
食生活などの環境要因や腸内細菌のバランスが、免疫の反応に影響して発症に関わるのではないかと考えられています。
これらの要因が複雑に関わって発症すると考えられていますが、正確な発症の仕組みは、まだ完全には解明されていません。 生活習慣の乱れやストレスだけが原因で起こる病気ではなく、ご本人の不摂生が招いた病気でもありません。気になる症状が続く場合は、原因を調べることが大切です。
種類と症状
炎症性腸疾患の代表的な病気が潰瘍性大腸炎とクローン病です。 どちらも慢性の腸の炎症ですが、炎症が起こる場所(病変の範囲)や広がり方に違いがあります。
潰瘍性大腸炎
病変の範囲:炎症は大腸に起こります。直腸から始まり、粘膜を中心に連続的(途切れずに)に広がるのが特徴です。
主な症状:下痢・血便(粘血便)・腹痛・しぶり腹(便意があってもすっきり出ない感じ)などが続きます。重くなると発熱・体重減少・貧血を伴うことがあります。
クローン病
病変の範囲:炎症は口から肛門まで消化管のどこにでも起こりえます。病変は飛び飛びに(非連続的に)現れ、腸の壁の深い層まで及ぶ(全層性の)こともあります。
主な症状:腹痛・下痢が多く、発熱・栄養障害・体重減少のほか、血便や肛門病変(痔ろうなど)を伴うことがあります。肛門の症状が最初のきっかけになることもあります。
こんな症状はありませんか?
次のような症状が続く場合は、炎症性腸疾患をはじめとした腸の病気の可能性があります。
- ✓ 下痢が数週間以上続いている、何度もトイレに行く
- ✓ 便に血や粘液が混じる(血便・粘血便)
- ✓ 腹痛・しぶり腹(残便感)が繰り返し起こる
- ✓ 体重が減ってきた、微熱や全身のだるさが続く
- ✓ 夜間や明け方に下痢・便意で目が覚めることがある
- ✓ 痔ろう・肛門の腫れや痛みを繰り返している
これらの症状は、感染性腸炎・過敏性腸症候群・痔・大腸ポリープ・大腸がんなど、炎症性腸疾患以外の病気でも起こりえます。 症状だけで判断せず、必要に応じて検査で状態を確認することが、適切な対応への第一歩になります。
検査・診断
大腸カメラと生検を中心に、血液検査も組み合わせて総合的に診断します。
問診・血液検査
いつから・どのような症状が続いているか、便の状態や体重の変化などをうかがいます。あわせて血液検査で、炎症の程度・貧血・栄養状態などを確認し、全身への影響を把握します。これらは診断や、検査を進める方向性を決める手がかりになります。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
大腸の内側を直接観察し、炎症・びらん・潰瘍の形態や分布(連続的か・飛び飛びか)を確認します。炎症性腸疾患の診断の中心となる検査です。 「検査が初めて」「以前つらかった」「不安が強い」という方には、鎮静下で受けていただける環境を整えています。
生検(病理検査)・鑑別
検査中に粘膜の組織を一部採取(生検)し、顕微鏡で詳しく調べます。内視鏡の所見と病理の所見を合わせて総合的に診断し、 感染性腸炎など、症状の似た他の病気との区別(鑑別)を行います。潰瘍性大腸炎かクローン病かの判断にもつなげます。
診断は一つの検査だけで決まるものではありません
炎症性腸疾患は、問診・血液検査・大腸カメラ・生検の結果を総合して診断します。経過のなかで診断が変わることもあるため、診断後も定期的な検査・経過確認を続けることが大切です。
治療・当院の対応
炎症性腸疾患は、現時点で完全に治しきる治療法は確立されていないため、治療は炎症を抑えて症状を落ち着かせ、寛解期をできるだけ長く保つことを目的とします。 薬物療法(5-ASA製剤・ステロイド・免疫調整薬・生物学的製剤など)や、必要に応じた栄養療法などが、状態に応じて検討されます。重症の場合や難治の場合には、入院や専門的な治療が必要になることもあります。
当院が担当する範囲
当院は外来のクリニックです。慢性の下痢・血便・腹痛などの症状について、相談・大腸カメラ(鎮静下対応)・生検による 診断・鑑別・初期対応・経過確認までを担当します。感染性腸炎など他の病気との区別を行い、診断後の状態の確認や、つらい症状への当面の対応をご一緒に進めます。
専門医療機関と連携・ご紹介する範囲
炎症性腸疾患は指定難病で、長期の継続管理が必要な病気です。生物学的製剤・免疫調整薬などを用いた継続的な専門管理、入院を伴う治療、指定難病の申請手続きなどが必要と判断した場合は、 当院では行わず、適切な専門医療機関へ責任を持ってご紹介・連携します。紹介状の作成や必要な検査の追加にも対応します。
「下痢や血便が続いているが、何の病気か分からない」という段階でも構いません。まずは大腸の状態を確認し、結果に応じて次のステップ(経過確認・専門医療機関へのご紹介など)を一緒に決めていきます。
担当医より
錦織 英知
院長 / 大腸肛門病専門医