Peptic Ulcer
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
みぞおちの痛み・空腹時や食後の痛み・黒色便——
胃カメラで潰瘍の状態を確認し、胃酸分泌抑制薬やピロリ菌除菌で治療します。
江坂駅徒歩2分。土曜診療・WEB予約対応。
最終更新日:2026年6月23日|監修:院長 錦織 英知(日本大腸肛門病学会 専門医・指導医)
胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは
胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、胃酸や消化酵素によって胃や十二指腸の壁が深く傷つけられ、粘膜よりも深い層までえぐれてしまった状態です。胃にできるものを胃潰瘍、十二指腸にできるものを十二指腸潰瘍といい、まとめて消化性潰瘍と呼びます。
胃や十二指腸は、本来は胃酸から粘膜を守る仕組みを持っています。 ピロリ菌感染・痛み止め(NSAIDs)・ストレスなどによってこの防御と胃酸のバランスが崩れると、壁が傷つき潰瘍ができると考えられています。胃潰瘍は中高年に、十二指腸潰瘍は比較的若い世代にもみられる傾向があります。
潰瘍は、適切な治療で多くがしっかり治る病気です。一方で、放置すると出血や穿孔(壁に穴があく)を起こすことがあり、再発しやすいのも特徴です。原因に応じた治療(胃酸を抑える薬・ピロリ菌除菌・薬剤の見直しなど)を行うことが、治癒と再発予防の両方につながります。
原因・リスク要因
胃酸から壁を守る仕組みが弱まる、または胃酸が攻撃に傾くことで潰瘍ができるとされています。
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)
潰瘍の最も多い原因とされる細菌です。胃の粘膜に住みつき、炎症を起こして潰瘍をつくります。感染していると若い方でも発症することがあり、除菌により再発を大きく減らせます。
NSAIDs・解熱鎮痛薬
痛み止め・解熱剤として広く使われるNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、粘膜を守る働きを弱め潰瘍の原因になります。長期に服用している方では、痛みを自覚しにくいまま出血することもあります。
ストレス
精神的・身体的なストレスは、胃酸の分泌や粘膜の血流に影響し、潰瘍を起こしやすくする要因とされています。過労・睡眠不足・大きな病気や手術の後などが背景になることもあります。
飲酒・喫煙・カフェイン
過度の飲酒・喫煙、コーヒーなどのカフェインは、胃酸の分泌を高めたり粘膜の修復を妨げたりして、潰瘍のリスクや治りにくさに関わるとされています。
食生活・生活リズム
不規則な食事・夜遅い食事・刺激物の摂りすぎなどが胃に負担をかけ、症状を悪化させる要因になることがあります。
そのほかの要因
抗血栓薬(血をサラサラにする薬)の服用、重い全身疾患などが背景となることもあります。複数の要因が重なって発症・悪化することも少なくありません。
原因によって治療の進め方が変わります。特にピロリ菌感染とNSAIDsの服用は確認すべき重要なポイントです。心当たりのある方や気になる症状がある方は、一度ご相談ください。
種類と症状
胃潰瘍と十二指腸潰瘍は、共通してみぞおち(上腹部)の痛み・お腹の張り・吐き気・胸やけなどがみられますが、痛むタイミングに違いの傾向があります。
胃潰瘍 ── 食後に痛みが出やすい
食事をして胃酸が出ると痛みが強くなる傾向があり、食後しばらくしてみぞおちが痛むのが特徴とされます。中高年に多く、食欲低下や体重減少を伴うこともあります。
十二指腸潰瘍 ── 空腹時・夜間に痛みが出やすい
胃が空になったときに痛みが出やすく、空腹時や夜間・早朝に痛み、食事をすると和らぐのが特徴とされます。比較的若い世代にもみられます。
こんな症状はありませんか?
次のような症状がある場合は、潰瘍の可能性を含めて胃カメラで確認することが勧められます。
- ✓ みぞおち(上腹部)や背中に痛みがある
- ✓ 空腹時や夜間、または食後にお腹が痛くなる
- ✓ お腹の張り・吐き気・胸やけ・げっぷがある
- ✓ 黒っぽい便(黒色便・タール便)が出た
- ✓ 痛み止め(NSAIDs)を長く服用している・ピロリ菌が気になる
- ✓ 原因のはっきりしない貧血・疲れやすさを指摘された
⚠ 緊急のサインに注意してください
吐血・黒色便(タール便)・激しい腹痛は、潰瘍からの出血や穿孔(胃や腸に穴があく)を示す危険な兆候です。これらの症状があるときは、できるだけ早く医療機関を受診し、症状が強い場合は救急要請(119番)をご検討ください。様子を見ずに対応することが重要です。
上記の症状は、胃炎・逆流性食道炎・機能性ディスペプシア・胆石・胃がんなど、潰瘍以外でも起こりうるものです。症状だけで判断せず、胃カメラで状態を確認することが、適切な対応への第一歩になります。
検査・診断
胃カメラで潰瘍を確認し、ピロリ菌の有無や原因を調べていきます。
問診・症状の確認
痛みの場所・タイミング(空腹時か食後か)・便の色・服用中の薬(特に痛み止め)・飲酒喫煙の習慣などをうかがい、潰瘍やその原因の可能性を整理します。
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
胃や十二指腸の内側を直接観察し、潰瘍の有無・場所・大きさ・出血の有無を確認します。診断の中心となる検査です。出血している場合は内視鏡での止血処置を行えることもあります。 「検査が初めて」「以前つらかった」「不安が強い」という方には、鎮静下で受けていただける環境を整えています。
ピロリ菌検査
潰瘍の最大の原因であるピロリ菌の感染を調べます。胃カメラの際に組織を採取して調べる方法のほか、尿素呼気試験・血液・便・尿などの方法があります。感染が確認されれば除菌治療につなげます。
生検(病理検査)─ 胃がんとの鑑別
胃潰瘍は見た目が胃がんと紛らわしいことがあるため、必要に応じて組織の一部を採取(生検)し、顕微鏡で性質を確認します。良性の潰瘍か、注意が必要な病変かを見極めるために重要な検査です。
胃カメラで「見て確認する」ことが大切です
潰瘍は薬で症状が一時的に和らいでも、原因(ピロリ菌・NSAIDsなど)が残っていると再発します。また胃がんとの区別も必要なため、症状がある場合は一度しっかり胃カメラで確認しておくことが勧められます。
治療・当院の対応
潰瘍の治療は、胃酸を抑えて潰瘍を治す薬物治療と、原因への対応(ピロリ除菌・薬剤の見直し)を組み合わせて進めます。多くは外来での内服治療で治りますが、出血や穿孔がある場合は入院・処置が必要になることがあります。
① 胃酸分泌抑制薬で潰瘍を治す
プロトンポンプ阻害薬(PPI)やP-CABといった胃酸を強く抑える薬を中心に内服し、潰瘍の治癒をはかります。症状は比較的早く和らぎますが、潰瘍がしっかり治るまで、自己判断で中断せず処方どおり続けることが大切です。
② ピロリ菌の除菌(再発予防の要)
ピロリ菌が原因の場合、抗菌薬と胃酸を抑える薬を1週間内服する除菌治療を行います。除菌に成功すると潰瘍の再発を大きく減らせることが分かっており、根本的な再発予防につながります。除菌後は判定検査で成功を確認します。
③ 薬剤の見直し・生活指導
NSAIDs(痛み止め)が原因の場合は、可能な範囲で薬剤の中止・変更や、胃を守る薬の併用を検討します。あわせて、禁煙・節酒・刺激物やカフェインの調整・ストレスや食生活の見直しなど、再発を防ぐための生活面のアドバイスも行います。
当院が担当する範囲
当院は外来のクリニックです。胃カメラ(鎮静下対応)による診断、ピロリ菌検査・除菌治療、胃酸分泌抑制薬による薬物治療、生活指導までを担当します。潰瘍の多くはこの外来治療で対応できます。
連携先へご紹介する範囲
大量の出血・穿孔(穴があく)など、入院や緊急の処置・手術が必要な場合は当院では行わず、連携している医療機関へ速やかにご紹介します。緊急性が高いと判断した場合は救急対応につなぎます。
「市販の胃薬でしのいでいる」「痛みが出たり治まったりを繰り返している」という方も少なくありません。潰瘍は再発しやすい病気だからこそ、一度きちんと状態と原因を確認し、根本的な治療まで一緒に進めていきます。
担当医より
錦織 英知
院長 / 消化器内視鏡専門医
よくある質問
みぞおちの痛み・黒色便のご相談
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